まさに「闘った・・!」というイメージなんですね
だから、あの頃のスタッフは皆「戦友」という気になります
なにか、具体的な敵がいた・・という訳でも無いんです
もし、敵がいるとしたら、あれはカレイドスターを取り巻く状況そのものと、それに負けそうな自分・・だったかもしれません
今回はかなり辛口です
辛口というより只の愚痴かも・・
マイナス感情が苦手な方は読まない方がいいと思います
韓国での撮影
さて、レイアウト一原を直しまくった話は前回書きましたが、それ以上にとんでもないストレスが降りかかってきました
それが、韓国での撮影です
何故これがストレスなのかというと、とにかく
リテークが直らない
からなんです
(リテークとは、やり直しのことです)
ふたご姫の撮影の時にも書きましたが、撮影は各部署のありとあらゆるミスが一気に吹き出してくるところです
単純な撮影ミス
原画チェックで漏れたタイムシートのミス
動画でタイムシートをつけ間違ったミス
そもそもセル素材が間違っている、もしくは無い・・等
一気に表面化します
韓国の場合、多少、単純なミスが日本より多いぐらいで、撮影そのものに関しては、多くを望まなければさして日本と変わりません
問題なのは、いざ素材を直そうとした時、素材(カット袋)が日本に無い事です
注*
カット袋とは、レイアウト、原画、動画、タイムシートが1カット分ひとまとめに入った袋の事です
このカット袋単位で、アニメーションは素材を作っていきます
一つの袋に、丸々1カット分の労力と情報が入っています
注*
タイムシートとは、セルの一枚目が何コマ、二枚目が何コマ、というよに、撮影されるセルの順番とコマ数、また、あらゆる撮影指示が書かれた伝表です
6秒分で一枚になる、B4ぐらいの大きさの紙を使います
日本の撮影の場合、カット袋が撮影会社に有ります
リテークの時は、これを引き上げてきて見れば良いわけです
例えばラッシュを見て、「このカット、そらが口パクしてない。髪の毛のハイライトがついたり消えたりする。それから、下から上へPANするはずなのにPANしていない」というミスが見つかったとします
注
PANとはカメラが首を振ることで、この場合下から上にカメラが向いて行きます
ラッシュを見ただけでは、ミスの原因までは特定できません
ここでカット袋の中身を調べて、素材やタイムシートを確かめセルのデータと照合して、初めて原因が解ります
対処はその後です
ところが、カレイドスターではカット袋が韓国にあるのです
航空便で送り返してもらう時間と予算はありません
韓国側に連絡して、必要な分のセルデータをネットで送ってもらったり、ファックスでタイムシートのコピーを送ってもらったりするわけです
ところがこれが・・届かないんですね・・・・
向こうに2度も3度も電話して、ようやくデータが届いたと思ったら違うカットを送ってきていた ・・とか、
電話が繋がらない(電話に出ない)・・とか、
電話に出たが日本語が出来る人がいない・・とか、
電話に出たが、すぐ切られた・・とか・・・
あああぁぁぁ!! もう! なんでそうなる!!
ってほど、コミュニケーションに苦労するんですね
単純な電話連絡ですら、そうなっていくのは不思議です
また、ラッシュをチェックするにしても、今、撮影に何カット入っているのか、
それ以外のカットがどうなっているのか、把握することはとても困難です
当の「撮影のラッシュの上がる見込みがいつなのか」ですら、全く読めないんです
「明日の夕方4時にラッシュがネットで届くはずなので、にくきゅうさん、待機していてくださいね」と日本の制作に言われていても、まず、その時間には届きません
「あと二時間ぐらいかかるそうです」・・・・・6時になり・・
「担当者が電話に出ないんですよ」・・・・・9時になり・・
「ようやく担当者を掴まえたんですが、あと3時間らしいです」・・・・0時になり・・
「また掴まらなくなりました」・・・・・2時になり・・
「なんか・・夜なんで撮影さんが帰っちゃった・・そうです」
え”っ!! どうすんの!!
「どうしようもないんで、とりあえず仮眠しててください」
え”ええええええええ!?
ということになります
制作進行がクリエーターを相手にする時も、たぶんこうなんでしょうが、なにしろ相手は海の向こう
手も足も出ません
これだけコミュニケーションが取り辛いのですから、細かい動画のリテーク指示は、ほとんど伝わりません
セルのデータを送ってもらって、なるべくこちらでフォトショップを使って自分で直す
もしくは動画番号を指定して、丸々やりなおしてもらう・・
そんな事でしか、対応できません
しかし、せっかくセルを直しても、直したセルが使われず、またリテークになってしまう事も多いんです
せめて撮影の単純ミスぐらいは直って欲しかったんですが、それもダメでした
第25話で、レイラとそらが、丸太に向かって飛び出す練習をしている場面
肩を壊しているレイラに気付いても、じっと練習を続けさせるカロス
このカロスにゆっくりTUするカットがあります
(TUとはカメラが被写体に近づいていくことで、カロスの顔が段々大きくなっていって、背景のグランドキャニオンはゆっくり下へスライドします
1テイク目
背景のグランドキャニオンが、右から左へ大きく横にスライドしていました
背景のスライドが、横な訳ありません
レイアウトのフレーム指定を見ていないか、シートを見ていないか、見間違ったか・・
そもそも、そんな横に長い背景じゃないはずなのに、そのグランドキャニオンはどっから持ってきたの?
「背景のスライドが横になってます、フレーム指定がレイアウトにあるので、それを使って下さい。シートをよく見て下にスライドして下さい」とリテークしました
2テイク目
さらに勢いよく、横にスライドしてきました
なんでスピードアップしてるのか、意味が判りません
そもそもリテーク指示の文面をどう見たら、横に早くスライドになるのか・・・
「背景はゆっくり下にスライドです。スライド早いです。フレーム指定に合わせて下さい」とリテーク
3テイク目
もっと早く、横にスライドしてきました
僕は頭から湯気が出そうでした
4テイク目
これも横にスライドしてきたので・・・
・・・諦めました
このカットはデータをそっくり引き上げて、日本にいる撮影監督の荻原猛夫君に、無理矢理頼みこんで、撮影してもらうことになりました
(荻原君は、高度な撮影技術が必要なカットのみ担当することになっていて、日本で各話数から選りすぐったカットの作業をしていました)
これで5テイク目でようやく直った事になります
本当は他にも直したいカットは沢山有ったのですが、上記の通り、データを送って来ないし、データを直しても撮影が直らないので、諦めたカットがいくつもありました
あまりのストレスに、僕は吐きそうでした・・・・
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【カレイドスター第25話の最新記事】


帰ってきた
カレイドスター制作時の苦労と疲労が伺える日記ですねー。
こういう意見を書くのはあまり好きではないのですが……。
渡辺は2chをやっているのこともあって、
「ああ……kの国だからなぁ」という感想ですね。知れば知るほど――というやつです。
とにかく、かの地の方々(の大部分は)日本人に対しての対応が酷い、というのは2chでは有名な話なのです……。
品の悪い意見では、kの国の法則とか言われてますが……。
ただただ、「お疲れ様でした」と、心からそう感じたのは、きっと渡辺だけでは無いはずですw
カレイドスタースタッフの作品に対する強い思い入れの秘密はこういったところにもあったのでしょうか。様々な困難を乗り越えて出来上がったからこそ、見ている私も何か感じる部分があったのかもしれないと思います。